贈与税は相続税の補完税と言われています。
『亡くなった時の財産に相続税が課税されるのであれば、全部贈与してしまおう!』
贈与税がなかったら、こんなことを考える方が出てきてしまうのです。
そのため、贈与税の税率は相続税の税率よりも重く設定されているのです。同じ金額を相続によって取得した場合よりも贈与によって取得した場合の方が税金が高くなる傾向にあるからです。
今回は、贈与税の税率についてご紹介します。贈与税を簡単に計算できる速算表のご紹介と贈与税の一覧表をご紹介します。贈与税の税率が高いとは言っても、贈与税を支払ってでも生前贈与をした方が結果的に特になることも多いのです。
計画的な生前贈与は相続税対策の王道です。ぜひ贈与税の税率を理解して効果的な相続税対策を行うようにしてください。
目次
1.贈与税の税率
1-1.贈与税の税率は0%から55%
贈与によって財産を取得した場合には、贈与税が課税されます。
贈与税は超過累進税率となっています。贈与を受けた財産が増えるにつれて徐々に贈与税が増えていく仕組みなのです。
年間に贈与を受けた財産の合計が110万円以下の場合には、贈与税は課税されません。
贈与税の税率は、0%から55%ということができます。
1-2.贈与税の税率速算表
贈与税の計算をする場合には、速算表を使うと便利です。
20歳以上の方が両親や祖父母から贈与を受ける場合には、贈与税の税率が軽減されています。これを特例贈与といいます。
対してその他の方からもらった財産については通常の贈与税の税率が課税されます。これを一般贈与といいます。
贈与税の速算表を利用する際には、20歳以上の子供孫等が受ける贈与なのかその他の贈与なのかを考慮するようにしてください。
<贈与税具体例>
例えば、50歳の子供が75歳の親から500万円の贈与を受けた場合には以下のように贈与税の速算表を利用して贈与税を計算します。
20歳以上の子供孫等が受ける特例贈与のため、左の速算表を利用する。
500万円-110万円=390万円 →速算表に当てはめる
390万円 × 15% – 10万円 = 485,000円
贈与税は485,000円となりました。贈与を受けた金額のおよそ1割が税金として課税されることになります。贈与税は高いと感じますよね。
<贈与税速算表の仕組み>
贈与税の速算表について疑問に思う方もいらっしゃるかもしれませんので、仕組みをご紹介します。
贈与税は累進税率であるということはご説明をいたしました。贈与を受けた金額が増えるほど徐々に税率が高くなっていくのです。
一般贈与の場合の税率は以下のようになっています。
110万円以下の部分は0%
110万円超310万円以下の部分は10%
310万円超410万円以下の部分は15%
410万円超510万円以下の部分は20%
510万円超710万円以下の部分は30%
710万円超1,110万円以下の部分は40%
1,110万円超1,610万円以下の部分は45%
1,610万円超3,110万円以下の部分は50%
3,110万円超の部分は55%
これらを一つずつ計算していくのは大変ですよね。
そこで、110万円を控除した贈与税の課税対象について、まずは適用される最高税率を乗じてそこから低い税率が適用される部分を控除することで贈与税の計算を簡単に行えるようにしているのです。
贈与税の速算表は簡単に贈与税が計算できるようになっているのです。
2.相続税も考慮して効果的な贈与を!
2-1.贈与しなかった財産には相続税が課税される
贈与税の税率は高いのですが、贈与税がかからないよう110万円の贈与を続けた方が有利なのでしょうか?
決してそうであると断言することはできません。むしろ将来の相続税を考慮すると贈与税を負担してでも生前贈与を続けた方が有利となることが多いのです。
先ほど具体例で、500万円の贈与を受けた場合の贈与税が485,000円だとご説明しました。
贈与の額に対する贈与税の税率は10%未満となっています。基礎控除を超える財産がある方の場合、相続税の最低税率は10%となっています。
将来の相続税が40%ほど見込まれる方の場合、500万円を贈与して10%未満の贈与税がかかったとしてもトータルの税金は安くなることになるのです。
将来の相続税、贈与可能な期間や贈与したい人数等を考慮して効果的な生前贈与を検討するようにしてください。
相続税対策としての効果的な生前贈与について詳しくは以下の記事をご参照ください。
『相続税対策の王道!【生前贈与】で効果的に相続税負担を軽減する方法』
より効果的な生前贈与や相続税対策をご希望の方は税理士にご相談することをお勧めします。
2-2.かんたん贈与税の一覧表で効果的な贈与を!
贈与の額と贈与税を一覧としてみました。生前贈与を検討する際にぜひご参考にしてください。
贈与によって財産を取得した人は、翌年の2月1日から3月15日までに贈与税の申告書を税務署に提出して贈与税を納付する必要があります。
贈与税の申告書は国税庁ホームページで簡単に作成が可能です。
贈与税の納付はクレジットカードで自宅にいながら行うこともできます。
贈与税の申告書の作成方法と贈与税の納付方法について詳しく知りたい方は、以下の記事をご参照ください。
『【今すぐ簡単にできる!】贈与税の申告書の作成と納付方法を詳細解説』
3.まとめ
贈与税の税率についてご紹介しました。
20歳以上の方が両親や祖父母等から受ける贈与については贈与税の税率が軽減されています。
贈与税を計算する際には、速算表を利用すると便利です。
効果的な生前贈与のためには、将来の相続税や贈与可能な期間、贈与したい人数等を総合的に判断する必要があります。
より効果的な生前贈与をご検討の方は税理士にご相談ください。