e-taxを利用するにあたって電子証明書を取得したい。
今持っている電子証明書でe-taxできるのだろうか?
所得税や贈与税の電子申告(e-tax)は非常に便利です。e-taxを開始しようとした時に必要となるのが電子証明書です。
マイナンバーカードを取得された方はマイナンバーカードを利用すれば問題ありませんが、まだマイナンバーカードを取得されていない方にとってe-taxで利用する電子証明書に悩んでいる方も多いのではないでしょうか?
暫定的な措置となりますが、平成31年からは電子証明書が不要となるIDパスワード方式も開始しています。こちらの制度についても簡単にご案内します。
e-taxで利用可能な電子証明書をしっかりと検討して、電子申告をする際の参考としてください。
目次
1.e-taxで利用できる電子証明徹底比較!
e-taxで利用可能な電子証明のうち、一般の方が取得可能なものをまとめてみました。(2018年3月時点)
電子証明書を選択する際の参考としてください。
サービス名 | 有効期限 | 価格(税抜) | 個人向け | 会社員向け | 法人向け |
公的個人認証サービス | 発行から5回目の誕生日 | 0円 | ● | ||
セコムパスポートfor G-ID | 2年~3年 | 14,000円~21,000円 | ● | ● | |
商業登記に基づく電子認証制度 | 3ヶ月~27ヶ月 | 2,500円~16,900円 | ● | ||
TDB電子認証サービスTypeA | 2年1ヶ月~5年 | 28,000円~48,000円 | ● | ||
電子入札対応電子証明書発行サービス | 2年1ヶ月~4年6ヶ月 | 23,000円~44,000円 | ● | ||
AOSignサービス | 1年30日~5年 | 15,000円~60,000円 | ● | ||
e-Probatio PS2サービス | 1年1ヶ月~5年 | 15,000円~58,000円 | ● | ||
DIACERT-PLUSサービス | 1年~4年10ヶ月 | 11,000円~40,000円 | ● |
純粋に個人向けの電子証明書は、マイナンバーカード(公的個人認証サービス)とセコムパスポートfor G-IDの2つしかないのです。
会社員向けというのは、電子入札等を行う会社に属する社員を対象とした電子証明です。ニーズが多いのでサービスも豊富ですが、電子証明に会社の情報が入りますので会社員の確定申告のみの利用では使いづらいですね。
法務局が運営する電子証明書は、その名のとおり商業登記の情報を基にしていますので個人の確定申告では利用できません。
1-1.費用面ではマイナンバーカードがベスト!
所得税や贈与税の電子申告をするにあたっては、マイナンバーカードの利用が現実的です。
取得費用が0円で済むからです!
医療費控除などで所得税の還付を数千円受けるのに、年間1万円もコストがかかる電子証明書を利用するのは現実的ではないですよね。
法人税等の電子申告の場合、代表者個人のマイナンバーカードの利用をすることが可能です。
家族経営の会社で自社で電子申告をしたい場合には、代表者個人のマイナンバーカードを利用すればコストを抑えることが可能です。
電子入札などを行う関係で既にe-tax利用可能な電子証明書がある場合には、その電子証明書を利用するのも良いのではないでしょうか。会社の業務で利用している電子証明の場合、個人的な税務申告で利用しても良いのかどうかは会社に確認するようにしてください。
これからマイナンバーカードの電子証明書を取得したいとお考えの方は、『2.マイナンバーカード電子証明書の取得方法』をご確認ください。
1-2.マイナンバーカード以外の選択(法人向け)
法人税の電子申告にあたっては、代表者個人の電子証明書でも大丈夫です。
とはいえ、代表者のマイナンバーカードを利用するのはちょっと…
電子申告のたびに代表者からマイナンバーカードを借りるのは面倒臭い!
代表者自身がマイナンバーカードの作成を渋っている。
そのような会社の場合には、費用がかかりますがマイナンバーカード以外の電子証明書の検討をするようにしてください。
1-2-1.少しでも安く抑えたい場合
少しでも料金を抑えたい場合、年に何回電子証明書を利用するのかを知ることが重要です。
利用可能期間が短い電子証明書は料金が安い一方で、利用可能期間が長い電子証明書は1月あたりの利用単価が低くなる傾向にあります。自社の利用状況にあった電子証明書と利用期間を選ぶようにしてください。
法人税等の申告が決算時の年に1度のみのような会社の場合、その時期のみ電子証明書があればいいでしょう。そのような会社は商業登記に基づく電子認証制度がおすすめです。最短3ヶ月2,500円で利用できます。
商業登記に基づく電子認証制度をご利用されたい方は、法務省のホームページをご確認ください。
毎月のように電子証明書を利用する必要がある会社の場合、1月あたりの単価が安いセコムパスポートfor G-IDがお勧めです。1月あたり583円(税抜き)で利用することができます。
セコムパスポートfor G-IDをご利用されたい方は、セコムトラストシステムズのホームページをご確認ください。
1-2-2.すぐに入手可能な電子証明
できるだけ早く電子証明書を取得したい場合、AOSignサービスがお勧めです。
速達でやりとりをすれば書類到着後3営業日以内に発行してくれますので、1週間ほどで電子証明書を利用することができるようになるからです。
費用は他の電子証明と比べて特別高いというわけでもありません。
AOSignサービスをご利用されたい方は、日本電子認証株式会社のホームページをご確認ください。
1-2-3.長く利用できる電子証明
少しでも長く利用できる電子証明をご希望の場合、TDB電子認証サービスTypeAがおすすめです。
5年間利用できる電子証明サービスの中で、最も料金が安くなっています。
利用期間3ヶ月の電子証明をその都度取得するのは煩雑ですよね。電子証明は、電子署名及び認証業務に関する法律施行規則によって、有効期限が5年を超えてはならないこととなっていますので、5年以上のサービスは存在しないのです。
TDB電子認証サービスTypeAをご利用されたい方は、帝国データバンクのホームページをご確認ください。
2.マイナンバーカード電子証明書の取得方法
マイナンバーカードの電子証明書を取得されたい方は、マイナンバーカード自体をまだ発行していない方がほとんどだと思います。
カード発行の通知まで1ヶ月かかります。通知されたのちに役所にカードを取りに行く必要がありますので、時間に余裕を持って手続き開始するようにしてください。
マイナンバーカードの発行方法は以下の4通りです。
- 郵便による申請の場合
- パソコンからの申請の場合
- スマートフォンからの申請の場合
- まちなかの証明写真機からの申請
パソコンやスマートフォンから申請の場合、デジカメ写真で大丈夫です。カメラ屋さんに証明写真を取りに行く必要がないので便利ですね。自宅からも申請ができます。
マイナンバーカードの発行について詳しく知りたい方は、地方公共団体情報システム機構のホームページをご確認ください。
3月になってこれからマイナンバーカードの電子証明書を取得しようとすると今回の確定申告には間に合いません!
そのような場合、今回は紙で提出をするか、電子証明書が不要な暫定措置『IDパスワード方式』で電子申告することをお勧めします。
IDパスワード方式については、『3.IDパスワード方式で今回の申告を乗り切る!』をご確認ください。
3.ID・パスワード方式で今回の申告を乗り切る!
電子証明書の普及までの当面の間、ID・パスワード方式で電子申告をすることが可能となりました。
ID・パスワード方式によると電子証明書がなくても電子申告をすることが可能となります。
ただし、
税務署に事前に行く必要があります!
今回のことだけ考えれば、紙で申告書を作成して税務署に提出しに行くでも良いかもしれません。
電子証明書は間に合わないけどe-taxで申告してみたいという方は、税務署に行ってIDとパスワードの発行を請求してみてはいかがでしょうか。
<注意点>
IDパスワード方式は、あくまで暫定措置です。来年以降のために早めに電子証明書の取得をすることをおすすめします。
今回の申告をIDパスワード方式で乗り切ることはできますが、来年同様に利用できるかどうかはわかりません。(急速に電子証明が普及するとは思えないので、来年以降も利用できるとは思いますが…。)
国の本音としては、まずは電子申告を利用してもらって来年以降はマイナンバーカードの電子証明書で電子申告をしてほしいのです。なりすまし等を防ぐため、電子証明書で本人確認をするのは時代の流れです。
4.まとめ
e-tax(電子申告)に必要となる電子証明書についてご説明をしました。
個人の方であれば、マイナンバーカードを利用することがお勧めです。コスト0円で電子証明書を入手することができるからです。
マイナンバーカードの作成には1ヶ月ほどの時間がかかりますので早めに手続きをすることをお勧めします。
法人の電子申告でマイナンバーカード以外の電子証明書を導入したい場合は、自社でいつ電子証明書が必要になるのかご確認ください。料金が安い方がいいのか?早く入手したいのか?手続きが少ない方がいいのか?によってお好みの電子証明を選ぶようにしてください。
ID・パスワード方式によると電子証明書がなくても電子申告をすることが可能です。あくまで暫定装置ですので、今回の申告をID・パスワード方式で乗り切った場合、来年以降のために早めに電子証明書の取得をすることをお勧めします。